公共施設の遅れを可視化 老朽化の著しい学校の改修が実現

*令和7年9月 一般質問資料

◆牧みゆき

公共施設における修繕・更新の遅延について伺います。

近頃、本市の公共施設では、施設や設備の修繕・更新が遅れたことによる不具合が多発しています。今年4月、中央公民館、ウェーブなどが存在するプレラにしのみやの公共施設部分で、空調設備の一部が故障しました。空調全体の出力を5割程度と大幅に抑制せざるを得なくなったため、7月から秋にかけて、貸し部屋の利用制限が行われています。暑さが続く今も6階廊下やソファのある共用部の空調は終日停止、和室や調理実習室など一部は利用停止となっています。この件は、6月定例会前に専決処分で補正予算を編成して早期に対応され、秋頃には復旧の見込みですが、発生当初は早くて9月補正での予算計上が検討されていました。

私は、このスケジュール感を問題視し、市民に及ぶ影響の大きさから早急な対応を求めた経緯があります。こうした事態が発生した要因を確認したところ、空調設備はおおむね20年で更新する必要があるにもかかわらず、25年間も更新されていなかったことが分かりました。このたび行われる修繕も空調の一部にとどまり、全体の更新の時期は早くとも令和9年かそれ以降になる見込みです。

次に、市立西宮東高校のプールでは、プール底面が浮き上がる不具合が発生し、昨年から2年連続で使用不能となっています。生徒は、選択科目の一つである水泳授業を受講できず、部活動は近隣の学校や学校から遠い民間施設のプールを借りて実施しています。市内公立高校で唯一の観客席を備えた50メートルプールで大会にも使用されてきましたが、それもかなわなくなっています。

不具合の原因は、飛び込みによる事故を防止するために敷かれたクッションシートの施工の劣化によるもので、小規模の浮き上がりが徐々に深刻化していきました。2000年代初め、市内にある大多数の学校プールで同じ施工が施されているため、同様の不具合は他の学校でも発生しており、今後、影響はさらに広がるものと思われます。これらの事案は、繰り返し起こる小規模な不具合や点検業者からの指摘で修繕・更新の必要性が明らかだったにもかかわらず、先延ばしや応急対応を続けた結果、使用不能な状態を招いたものです。

こうした経緯は、私たち会派・ぜんしんが今年の代表質問で取り上げたアミティ・ベイコムホールにおける舞台設備故障のケースと酷似しています。このような事例が繰り返されてしまうことに強い懸念を抱き、このたび、本市の公共施設全般の修繕・更新の状況を調査しました。

資料4ページの表を御覧ください。

このたび調査の対象としたのは、本市の公共施設のうち、公共施設保全課が修繕計画を策定している各種施設、学校管理課が所管する学校園、住宅管理課が所管する市営住宅、庁舎管理課が所管する本庁舎周辺施設です。建物の数は716施設で、それぞれの建物に対し、屋上防水、外壁改修のほか、空調、エレベーターなど複数の設備があるため、修繕・更新の対象項目は3,025件です。それぞれの項目について、更新の先送り、前倒しなどを調査した結果、本来、修繕・更新を行うべきタイミングよりも実施が遅れている項目は計877件も存在することが判明しました。そのうち5年未満の遅れが378件、5年以上から10年未満が258件、10年以上から15年未満は155件、15年以上から20年未満が67件、20年以上遅れているものが19件で、最も長いものは31年もの先送りとなっています。あくまで概算ではありますが、今回の調査結果に基づき、先送りとなっている項目全ての修繕・更新を行うのに必要な費用を算出すると総額約657億円に上りました。

ここからは、表とそれ以降のページを併せて御覧ください。

まず、公共施設の中長期修繕計画で対象としている223施設では、対象項目814件のうち、修繕・更新が遅れているものが108件で、必要な費用の総額は約16億円です。現在は2000年頃に建築された施設の1度目の改修、1980年以前に建設された施設の2度目の改修が中心に進められており、遅れている108件のうち6割以上が5年以上先送られたものです。特に件数が多いのは、育成センターの屋上防水外壁改修で、子供たちの過ごす施設に財政難の大きなしわ寄せが行っている状況です。公民館、市民館、共同利用施設などの集会施設でも先送りが多く、これは私たち会派・ぜんしんが繰り返し指摘しているとおり施設種別の統合や集約、再配置といった課題を長年放置してきたことが背景にあります。

今回、問題となったプレラにしのみやを含め、民間との複合施設では、本市として十分な修繕・更新の計画を有していないことも明らかになりました。また、方針が決まらず、先送られているものには未耐震の建物も依然として存在しており、安全性の観点から重大な懸念を抱きます。

次に、学校施設は357施設、1,853項目のうち、修繕・更新が遅れているものは617件で、必要な費用の総額は約553億円です。件数、金額ともに今回の調査対象のうちの大半を占め、極めて深刻な状況にあると言えます。

この夏、私はこうした学校を数校を訪ねましたが、雨漏り、漏水、空調の不具合は日常的に発生しており、校舎の至るところに部分補修の跡やクラックを多数確認しました。広田小学校では、漏水が原因でトイレが使えなくなったり、給食がストップした事例もあります。

資料7ページの浜脇中学校の格技場では、雨漏りを前提に天井にトタンを貼り、場内に雨どいを設置して外へ排出する応急対応が5年以上続いており、根本的な修繕の予定はありません。そのほか、教室の床が抜けたり、天井のコンクリートが落ちた事例、床タイルや階段の滑り止めの損傷、トイレ、空調の不良など枚挙にいとまがありません。長寿命化改修や中規模改修が進められる一方、広田小、鳴尾北小、大社中、浜脇中など昭和30年代に建築された校舎を含む学校園が、21校、37棟あり、あと数年で築70年を迎えますが、これらは、長寿命化も中規模改修も行われないまま改築を待つ方針です。実際に改築のめどが立っているのは大社中学校のみで、残りの学校は計画の見通しもなく、場当たり的な修繕が繰り返されている状態です。

学校の施設の不具合に対する補修工事は、毎年約1,000件行われ、約5億円が充てられていますが、補修の要請に応じられているのは一部で、最低限の応急処置しか行えていません。課題が顕在化している学校のプールについては多額の費用を要するため、全校で修繕・更新を進めていくことは困難です。そのため議会から民間施設の活用などが提案されてきましたが、実現のめどは立っていません。

市営住宅では133施設、342項目のうち143件が遅れていて、そのうち5年以上遅れているものが71項目と約半分を占めています。修繕・更新に必要な費用は総額約67億円です。遅れが顕著なのは、改良住宅の屋上防水や外壁改修で、これも会派・ぜんしんが継続して指摘しているとおり改良住宅の今後の在り方について具体的な検討を先送りしてきたことのツケと言えます。エレベーターについても、他の市営住宅を含め、耐用年数を大幅に超過しているケースが多数あります。エレベーターの老朽化に起因する死傷事故は全国で相次いでおり、極めて危機的な状況です。

庁舎管理課所管の本庁舎周辺施設では、16項目中9件遅れており、必要な費用の総額は約21億円です。来年、本庁舎の屋上防水や外壁改修に約4年遅れで取りかかる予定です。池田庁舎は、保健所移転の2033年頃まで大規模な改修は行わず現状を保つ方針で、それまでに更新期限を超過する項目があります。

以上のように、本市の公共施設は修繕・更新の遅れにより極めて危険な状態にあり、冒頭で述べた幾つかの事例は氷山の一角にすぎません。ごみ処理施設、公園の遊具など今回の調査対象となっていない施設も多くあり、修繕・更新が必要な件数や費用は実際はさらに大きなものとなります。

また、今回調査した空調設備やエレベーター以外の設備についても、当然、同様の問題が発生するものと思われます。

資料、最後のページを御覧ください。

ここまで、市が所有する建物とその設備について述べてまいりましたが、市民の生命、生活に直結するのは、道路、水道などのインフラ施設で、これらについても老朽化は深刻です。

道路は、令和4年度の路面性状調査で、総延長17キロメートル、面積換算6万7,000平方メートルの修繕が必要と判明し、直近では年間4から5億円の事業費が必要となっています。道路整備プログラムに位置づけられた幹線道路の改築、改良も一部で遅れが生じているほか、一定の修繕・更新計画を有している橋梁、道路排水ポンプ、エレベーター、エスカレーターでは、本来の耐用年数を超えて使用されているケースが複数存在します。

上下水道では、浄水場等の大規模施設が今後、更新の時期を迎えます。管路については、基幹管路の耐震化を進めていますが、完了には今後、約20年程度を要しますし、それ以外の一般管路では非耐震管であっても、修繕、補修で更新時期の延伸を図っているのが現状です。施設と管路を合わせた建設改良費は年間約35億円程度で、今後さらなる増額が見込まれています。

下水道事業でも同様に、処理場、ポンプ場の施設更新に多大な費用を必要とするほか、埼玉県八潮市の道路陥没事故で大きな注目を集めたように、管渠の老朽化や破損も深刻なリスクです。本市でも管渠全体の13%が標準耐用年数とされる50年を経過しており、今後は、コンクリート系管渠の改築、更新費用の増加が見込まれます。

施設と管路の改築、更新に要する費用は、今年度の年間52億円から令和10年度には65億円程度になることが想定されています。こうした費用を賄うためにも、水道料金、下水道料の値上げが現実味を帯びています。当然、ここで述べた道路、上下水道に関する費用は現時点でのみの見込みであって、昨今の工事費の高騰を考慮すれば、より厳しい状況であると言えます。本市の厳しい財政に加え、資材、人件費高騰や人員削減が叫ばれる中、修繕・更新の事業は抑制傾向にあります。

しかし、公共施設やインフラの安全性を確保することは、市民の生命を守る行政が必ず果たすべき責任です。修繕・更新の遅れは明らかな市民サービスの低下であり、許されるものではありません。既に施設の不具合で多くの市民や子供たちに影響が及んでいること、この状況が続けば、近い将来、大事故が発生しかねないこの状況を市は重く受け止めていただきたい。

本来、修繕・更新するべき時期に工事を行うには、多額の財源が必要です。市の中長期的な収支計画は、修繕・更新の先送りを前提としてはならず、その点を考慮すれば、財政構造改善実施計画の取組で実現すべき効果額は、年間40億円では到底足りません。必要な修繕・更新を滞りなく行うために十分な予算を確保し、計画的かつ着実に進められるよう長期的な事業計画の見直しが不可欠です。そのために、市の公共施設、インフラ全体の修繕・更新状況を一元的に進捗管理し、優先順位や予算配分について組織横断的に検討、意思決定を行っていかなければなりません。

以上を踏まえ、質問します。

①修繕・更新の遅れによる使用不能や制限が相次ぎ、老朽化に追いついていないことを示しています。市民生活や財政に重大な影響が及んでいる状況は極めて大きな問題と考えますが、市の見解をお聞かせください。

②本来、修繕・更新するべき時期を過ぎた施設や設備は、早急に修繕・更新に着手すべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。

③学校プールや集会施設、改良住宅の在り方など以前から指摘している課題について検討を続けているにもかかわらず、結論を先送りしていることが修繕・更新の判断を妨げています。これらの課題について早急に方針を明示すべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。

④改築を控えた学校、未耐震の物件、複合施設で本市が主体的に管理していないもの、空調や受変電設備以外の設備など、そもそも体系的な計画がない施設や設備が存在します。これらについて必要となる工事の洗い出し、そのための人員や費用の算定など計画を具体化していくべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。

⑤全ての公共施設やインフラを本来の時期に修繕・更新するために必要な費用を精査し、財政構造改善実施計画の収支目標、今後の長期財政見通しに反映するべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。

⑥公共施設の修繕・更新について一元的に進捗管理し、全体の優先順位や予算配分について組織横断的に検討、意思決定していくための具体的な方策をお示しください。

以上で壇上からの質問を終え、以降は対面式質問席にて、意見要望、必要があれば再質問を行います。

御清聴ありがとうございました。

○議長 これより当局の答弁を求めます。

 

◎政策局長
公共施設における修繕・更新の遅延についての御質問にお答えいたします。

まず、施設の修繕・更新が老朽化に追いついていない現状に対する市の見解ですが、議員御質問のとおり、プレラにしのみやの公共施設部分における空調設備の故障や市立西宮東高校のプールの底面が浮き上がる不具合などについては、財政状況等により適切な時期に修繕・更新ができなかったことが市民利用に影響を与えている要因の一つになっていることは否めず、重要な問題だと認識しております。

次に、修繕・更新が遅れている施設や設備は早急に修繕・更新に着手すべきとの御質問についてですが、本市は、厳しい財政状況の中において、施設や設備の現状を点検、確認しながら、順次、修繕・更新を進めております。学校施設や市営住宅等の個別の施設については、学校施設長寿命化計画や市営住宅整備管理計画など修繕や建て替え等の計画を策定して事業の進捗に努めており、そのうち計画の進捗に遅延が生じているものについては、できる限り早期に修繕・更新に着手すべきものと考えております。

一方で、昨今の建設費高騰の状況や財政構造改善の方針を踏まえ、それら計画自体の見直しが必要なものもあるため、全庁的な調整を図りながら早期に計画を改定して実施に移していきたいと考えております。

次に、学校プールや集会施設、改良住宅の在り方など以前から指摘されている課題について早急に方針を明示すべきとの御質問についてですが、これまで学校プールの在り方につきましては、民間プールの活用等も含め検討を進めてまいりましたが、さきのおおさこ議員の御質問にもお答えさせていただいたとおりランニングコストだけでなく、改築や大規模改修に係る工事費も加えてコスト比較をしたところ、改築や大規模改修を控え、かつ児童生徒数が少ない学校におきましては、民間プールを活用したほうが一定のコスト削減効果があると見込んでおります。

そのため、費用対効果の大きい学校におきましては、来年度から試行的に民間プールの活用をスタートし、効果的かつ効率的な学校プールと水泳事業の在り方について検証を進めてまいります。

また、公民館、市民館等の市民集会施設につきましては、統廃合も視野に入れながら、コミュニティー施策と連動した施設の在り方について検討を進めており、考え方が整理できた部分から順次、議会にも説明をしていく予定でございます。

改良住宅につきましては、現在、耐震化済み住宅への住み替えを優先しており、今後、耐用年数を迎え、再整備を行う際には、改良住宅そのものの在り方も含めて検討していく予定としており、今後、段階的に市の方針を取りまとめていきたいと考えております。

いずれの施設につきましても、それぞれの施設に求められる機能が十分に果たせるよう各課題については可能な限り速やかに検討を進めていきたいと考えております。

次に、体系的な計画のない施設の洗い出しと計画化についてですが、これまで建築系公共施設のうち大きな割合を占める学校施設や市営住宅については、さきに述べました各計画を策定し、計画的な維持・修繕に努めてまいりました。それ以外の施設につきましては、地方公営企業の施設等を除き、公共施設の中長期修繕計画を策定し、屋上防水や外壁、空調設備、受変電設備、昇降機設備を修繕対象項目として修繕の周期や修繕方法を定めております。

公共建築物の耐震化につきましても、国の法律に基づき、西宮市耐震改修促進計画を策定し、廃止、建て替え、統廃合等を検討している施設を除き、令和8年度末時点で全て耐震化が完了する予定でございます。

このように、主要な公共施設の修繕・更新や耐震化につきましては、それぞれの施設の機能や特性を踏まえた計画に基づき、概算費用を算出した上で体系的に修繕・更新等の事業を進めております。

しかしながら、民間との複合施設や所管課が独自の修繕計画を策定している施設、また、著しく小規模な施設等につきましては体系的な計画を策定しておらず、実際に改修等を実施する段階で費用の算定などを行っております。

今後は、従来の計画の対象としていない施設や設備の改修等につきましても、市民生活に大きな影響を及ぼす可能性があるものについて、関係部局が連携して抽出、整理を行い、必要となる費用を算定した上で重点的に予算を配分していきたいと考えております。

なお、本市以外の権利者が関わっている民間との複合施設につきましては、今年度から庁内において、政策局と複合施設との担当部署と情報共有や意見交換の場を設けており、このような場を活用することで適切な時期に適切な修繕を行えるよう一層の情報収集、情報共有に努めてまいります。

次に、全ての公共施設やインフラを本来の時期に修繕・更新するために必要な費用を財政構造改善実施計画の収支目標、今後の長期財政見通しに反映すべきとの御質問についてですが、これまで公共施設の修繕・更新を含む投資的事業につきましては、市の総合計画における事業計画に基づき3か年ごとの実施計画をローリングしていく中で予算の具体化を図ってまいりました。

現在の財政構造改善実施計画の収支見通しにおける投資的経費につきましても、この事業計画に基づいた事業費を計上しており、さきに述べた学校施設、市営住宅、その他施設それぞれの体系的な計画の内容を反映させたものとなっております。

このため、このたびの御指摘を踏まえた財政構造改善実施計画そのものの見直しは考えておりませんが、利用者の安全や市民生活に大きな影響を及ぼす可能性が高いものは、毎年度の実施計画や予算の査定の中で優先的に配分をしていく考えでございます。

また、現時点における今後の中長期的な収支見通しにおきましては、将来的な施設の統廃合の可能性等も踏まえ、現在の施設や設備の耐用年数等から機械的に修繕・更新等の費用を算出するよりも、これまでの投資的事業費の推移に一定の上積みしたものを必要額として見込んでおくことが現実的であると考えております。その際の財源としては、公共施設関連の基金等に積み立てた額を充当することなどにより、将来的に修繕・更新等の事業を今よりも充実していく予定です。

最後に、一元的な進捗管理と組織横断的な検討、意思決定をしていくための具体的な方策についてですが、これまで公共施設の修繕・更新に関する進捗管理は、市としてさきに述べた学校施設、市営住宅、その他施設それぞれの計画の中で行ってまいりましたが、今後は、投資的事業全体の財源確保の観点も踏まえ、公共施設の修繕・更新に関する優先順位や予算配分を一元的に把握、検討していくことは非常に重要であると考えております。

そのため、今後さらに学校施設や市営住宅等の既存計画の見直しや改定作業を進め、それら計画の精度を向上させていくとともに関係部局の職員で構成する公共施設マネジメント推進部会で実施している個別の建築系公共施設の修繕・更新事業に関する協議・調整作業と事業の優先順位や予算配分を関連づけるなど全庁的な検討体制の改善を図ることで一元的な進捗管理を行う方策を検討していきたいと考えております。

その際には、各施設の劣化の状況等を庁内で共有できるような手法も併せて検討してまいります。

以上でございます。

◆牧みゆき

公共施設における修繕・更新については、再質問を交えながら意見要望を述べます。

財政状況等により適切な時期に修繕・更新ができなかったことが、市民利用に影響を与えている要因の一つとなっているとお認めになった上で、重要な問題と認識しているとの御答弁でした。

しかし、計画の進捗に遅延が生じているものはできるだけ早期に着手すべきと考えているとお答えされた一方で、実情に応じた計画改定、つまりは後ろ倒しの可能性についても触れられたことについては、強い懸念を抱きます。以前から指摘されている課題については、早急に方針を明示すべきという質問に対しては、可能な限り速やかに検討を進めていきたいとのことでしたが、学校プールについては、議事録を確認すると、遅くとも平成31年には議会から公式の場で民間施設の活用が提言されていました。集会施設の在り方について、西宮市公共施設適正配置審議会から答申を受けたのは平成27年、改良住宅の在り方について私たち会派・ぜんしんが代表質問で指摘したのは平成29年です。十分に検討の時間はあったはずです。にもかかわらず、結論を先送りしてきたことが、修繕・更新に影響し、市民生活に直接の支障を及ぼしています。

先日、方針が決まらず更新を先送りしている施設を訪ねると、天井に穴が空いていました。こういうことなのです。結論の先延ばしが引き起こす影響とその責任の重大さを改めて指摘します。

今回の答弁でも、具体的な期限を示されず実効性に疑問を残しますが、今度こそ早期に明確な方針を示すよう強く要望します。

体系的な計画のない施設設備については、関係部局が連携して抽出、整理を行い、必要となる費用を算定するとの姿勢を示されたこと、少し安堵しました。しかし、答弁の多くは現状の説明にとどまり、今後どうしていくかについて触れられたことは僅かでした。早期に具体的な検討を進めるよう要望します。

必要な費用を財政見通しに反映すべきとの質問に対しては、財政構造改善実施計画そのものの見直しは考えていない、中長期的な収支見通しにおいては、これまでの投資的事業の推移に一定の上積みをしたものを必要額として見込んでおくことが現実的、と大変後ろ向きな答弁でした。修繕・更新の必要性を認めながらその実効性を担保する財源確保は、従来の手法のままということです。

今回の調査から、本市の財政は約657億円分の修繕・更新の先送りの上に成り立っていることが明らかになりました。この危機的な状況が明らかとなったにもかかわらず財政構造改善実施計画においては、より高い効果額を示す、修繕・更新を先送りしない前提の収支見通しを示すという当然の対応がなされないのはなぜなのでしょうか。御答弁をお願いします。

 

○議長 再質問に対する答弁を求めます。

 

◎市長 再質問にお答えいたします。

今、政策局長が答弁をいたしましたけれども、今までの過去10年間よりもこれから先に関しましては、プラスをした形で今後の公共施設の、何ていいますか、対応をしていくということで今、お示しをしております。

その中で、とはいえ今、六百数億円という大きな額をおっしゃっていただきましたけれども、それは今あるものを私の認識では全部そのまま建て替えるという、そういうものでもありますから、今後そういう意味では集約をしていかなきゃいけない。それから、プールについてもいろいろ御示唆を頂きました。これに関してはそれを全部やり替えるということじゃない選択もあるだろうと、そのようなことでもありますので、そういう意味では、今までよりも公共施設保全積立金も積み上げさせていただいてますし、都計基金も積み上がっております。こうしたこともしっかりと活用しながら、これまで以上にしっかりと公共施設に対しての更新などをやっていこうという認識でおります。

以上です。

 

○議長 再質問に対する答弁は終わりました。

 

◆牧みゆき
るるお答えはいただきましたが、財政運営の在り方を抜本的に変えるというお考えは示されませんでした。つまり、これは現状維持ということです。もし、本当にそれで問題がないのであれば、なぜアミティの舞台設備、プレラの空調、東高校のプールなどの事例が相次いで起きているのでしょうか、御説明をお願いします。

 

○議長 当局の答弁を求めます。

 

◎市長 今、三つ御指摘いただいた件につきましては、確かにそうした事案が未然に防げなかったことに関しては、組織として反省しなければいけないことと思っております。

その上で、財政に関しましては、全く従来どおりとおっしゃっていただいたのですけれども、私としては今回の財政のガイドラインの中お示しをさせていただこうとしているものに関しましては、公共施設ないしハード系の基金を別建てで、何といいますか、数字として見ていただけるようにして、そして、そうしたハード系の基金をしっかりと活用しながら、そして、今までの一般財源も活用しながらこうしたハードに対して対応していこうという、そういう意味では私どもとしては、従来どおりよりも、より、そして見えやすい形に改善をした財政運営にしようと、させていただこうとしていると理解をしております。

以上です。

 

○議長 当局の答弁は終わりました。

 

◆牧みゆき
ありがとうございます。

それでも、財政見通しは明確には示されないのですよね?それで大丈夫でしょうか…と思っています。

私は、近年相次いだ事象は、氷山の一角にすぎないと考えています。
明日にでも、他の施設で生命や安全を脅かす事故が起きかねない。その切迫感を持って申し上げています。これまでと同じ方法を続ければ、当然、同じ事態が再び起こります。原因は先送りを生む財政運営の考え方にあり、ここを見直さなければなりません。私は、今回の調査結果を財政見通しに反映し、財政構造改善実施計画に実態を正しく織り込むことこそが本質的な解決につながり、この問題に真摯に向き合う姿勢であると考えています。

今回、先送りしている項目への対応を収支見通しに反映しないばかりか、現行の更新計画も実態に追いついていないことが明らかとなりました。積み残した事業は借金と同じで、返済を引き延ばすほど財政面でも安全面でもリスクは増大します。適切な時期に修繕・更新を行うには、どれだけの費用が必要なのか洗い出し、本来あるべき計画と実際の更新状況を明らかにする。この二つを照らし合わせることで初めて今、市が置かれている現在地と逼迫度合いが分かります。そしてここから計画することで、全体の施策の中で優先度もある程度明確にできると考えます。だからこそ、大切なのは、最後の質問で提言した一元的進捗管理と組織横断的な検討、意思決定です。この点については、方策を検討していきたいとの御回答を頂きましたので、具体的な方策を早期にお示しいただくよう要望します。

本定例会では、財政状況が想定よりも改善する見通しの下、大型の新規施策が打ち出され、私は衝撃を受けました。ここからも市の現在地点を客観的な指標で示し、その上で優先度を議論する必要があると強く感じました。更新状況を把握し、点検結果も含めて一元的に管理する。その情報を全庁で共有し、横断的に議論をして優先順位を定め、計画的に修繕・更新を進める。これが取るべき対応ではないでしょうか。

施設や設備の老朽化、また、こうした情報を市民に公表することで、市が抱える課題の大きさを市民と共有することも大切だと考えています。施設や設備の老朽化と更新の課題は、高度経済成長期に一斉に建築された後、保全に取り組んでこなかった過去の行政運営の問題の集積であることは理解をしています。

しかし、今回の質問を通して浮き彫りになったのは、厳しい財政状況や施設量の多さ、方針決定における判断の鈍さや縦割りの組織の弊害といった繰り返し議会で指摘されている課題がもともとの問題をより深刻化させている点です。そして、その結果として生じている問題が今、市民や子供たちの日常生活に影を落としているのです。

この夏に訪れた施設では、老朽化した建物や用具を現場の職員、教職員の皆さん、子供たちが掃除や手入れをし、でき得る限り整った状態に保たれており、私は本当に頭の下がる思いでした。

しかし、今の状態が何年も保てるとは到底思えず、いつ事故が起きてもおかしくない危機感を持ちながら、皆さん職務を果たしておられます。私自身も同様の危機感を持ち、微力ながら持てるだけの力を注いでこの問題に取り組んできました。

市長はじめ市当局におかれましては、これらの問題の大きさをいま一度認識していただき、現在の状況について、深く重く受け止めていただきたい。本日の御答弁からさらに踏み込み、危機感を持った対応をお願い申し上げます。

私も、今回明らかになった公共施設の修繕・更新の遅延については、今後も注視し取り組んでまいります。

最後に、今回の質問に当たり、関係各課、現場の職員や議員の皆様、そのほか多くの方のお力添えを頂きましたことに深く感謝し、牧みゆきの一般質問を終えます。

 

令和7年 9月8日

 

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