質問資料
※質問の後のあとがきがあります。
*牧みゆき
こんにちは。会派・ぜんしんの牧みゆきです。
傍聴席にお越しくださった皆様、さくらFM、ライブ中継をお聞きの皆様、ありがとうございます。
会派・ぜんしんの一員として初めての一般質問となります。これまでと変わらぬ姿勢で西宮市政のため一歩一歩着実に進んでまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、同僚議員の時間を頂きまして、通告に従い一問完結方式で大きく三つのテーマについて質問してまいります。質問項目が多くなっております。聞きづらい点もあると思いますが、よろしくお願いします。
では、一つ目のゼロカーボンシティ推進事業について質問します。
温暖化や気候変動を食い止め、地球環境と人々の暮らしを持続可能にしていくため、カーボンニュートラル――脱炭素化政策が推進されています。再生可能エネルギーの普及はその中心的な取組の一つで、中でも太陽光発電が注目されていました。しかし、普及のため産業化されたことも影響し、本格導入が始まって約10年がたった今、様々な問題が指摘されています。
資料1ページを御覧ください。
日本の太陽光発電の導入量は世界第3位、国土面積に対する導入量は主要国で最大級です。本市では、2015年頃から国見台など主に北部地域に大規模太陽光発電所、いわゆるメガソーラーが建設され、2017年には花の峯のメガソーラー計画について請願が提出され、採択されています。本年5月16日の参議院経済産業委員会では、再生可能エネルギーについて、欧州では既に議論は方向転換されており、我が国でも再エネ賦課金の廃止を含め抜本的な見直しが必要であると述べた委員に対し、経済産業省は、関係法令遵守や安全性の確保などを含めた地域との共生、事業終了後の設備の適切な廃棄・リサイクルなど様々な課題があるのも事実であると問題の存在を認めました。
こうした状況の中、本市は、令和6年度の当初予算にゼロカーボンシティ推進事業5億4,400万円を計上、このうち約5億3,000万円は国費で交付金ありの事業計画となっています。市は、今年3月に地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の重点加速化事業に応募申請しましたが、不採択となり、現在は事実上の中止となっています。しかしながら、今後も再度申請を行う予定ということで、本事業の問題点をつまびらかにするべく、一般質問として取り上げます。
国に申請した事業内容と申請額は1ページ下段にあるとおりです。複数ある項目のうち、本事業の中核となっているのがオフサイトPPAによる太陽光発電施設の建設と運用で、約1.1億円の交付金を申請しています。オフサイトPPAでは、市が民間事業者と契約し、市の未利用地、約1万平方メートルに出力約1メガワットのメガソーラーを建設、発電された電力を市が買い取り、本庁舎と第二庁舎で利用する計画で、庁舎の使用電力の約6割程度を再エネ化できる計算です。建設費と維持管理費は交付金と事業者負担で賄われ、市は、現在利用している関西電力とほぼ同等の固定単価で購入できる計画ですが、オフサイトPPAは、契約期間が15年から20年と長期に及ぶため、時期によっては関西電力の単価を上回る可能性があります。
2ページを御覧ください。
一般的な額になりますが、過去数年間においても、オフサイトPPAの単価が一般電力会社の平均単価を上回っている時期が多く存在します。その横のグラフから、関西電力もほぼ同じ価格推移であることが分かります。
また、左下の図にあるように、様々ある自家消費型太陽光発電モデルの中でオフサイトPPAの電気料金の構成には、バランシングコスト、託送料、メンテナンス代、導入費用など様々なコストが含まれており、構成内容の多さから契約時よりも市が支払う電気料金が上がる可能性も少なくありません。特に託送料は、つくった電気を利用するのに送電線を使用するための料金で、事業者側がコントロールできません。なお、近年、太陽光発電は、災害時の非常用電源として活用がメリットとして挙げられますが、オフサイトPPAの場合、既存の送電線を利用するので、非常時に活用することは困難です。
契約期間が長期に及ぶことのリスクは価格面だけではありません。オフサイトPPAは、発電設備の所有権を事業者が持っており、万一契約期間中に事業者が撤退した場合の事業の引継ぎはどうなるのか、撤去費や放置されるリスクはないのか、懸念します。
そもそもメガソーラーについては、環境負荷や災害時のリスクを伴うことが近年広く知られるようになってきました。景観の阻害、パネルの反射光、運転音による騒音と低周波による体調不良、建設地の土壌汚染やそこから来る地下水の汚染、周辺に生息する動植物など生態系への影響、台風や地震など災害発生時に起こる器物破損や火災などの2次被害などなど、太陽光発電が導入され始めた頃は明らかでなかった問題が噴出しています。20年間にわたるこの事業が人や動物などを含め西宮市の自然環境にかける負担は少なくないように思います。
また、パネル本体については、現在、日本で使用される太陽光パネルは海外製が主流となっており、製造過程で排出される多量のCO2が削減量の計算に入っていないこと、製造過程における強制労働といった人権問題についても指摘されており、新疆ウイグル地区の話は有名です。
また、頻繁に指摘され、本会議でも過去に松山議員が指摘しておられたのがパネル処理の問題です。鉛など複数の有害物質を含むとされる使用済みパネルについては、リサイクルを含め法整備も考えられていますが、現状、リサイクルは困難な部分があり、多くが分解後、費用の少ない埋立処理に回される傾向にあります。2030年代後半には、現在の200倍に当たる年間約80万トンが排出される予測ですが、処理の技術や処分場の容量が確立しているとは言えず、不法投棄や事業者の廃業も懸念されています。計画では、パネルの処理は契約料の中に含まれると伺っていますが、大量のパネルが地中に埋められることが環境によいとは言い難く、また、パネルのリサイクルや処理は、近い将来、技術が向上したとしても処理費用が加算される可能性も十分あると考えます。そして、廃棄処理時に発生するCO2排出量も計算に入れるべきです。
厳しい財政で市民の負担の増を余儀なくされている本市が多額の予算を要する再エネ事業を国の補助で行えるのは大きな利点とも思えますが、不確定な要素が多く、将来的に市の支出が増えるリスクを否定できません。また、本質的に地球の環境を守っているとは言い難い面もあり、総合的に見たとき、環境学習都市を宣言し、環境教育や環境政策に力を入れてきた西宮市が市の事業として行うのに適切かどうか疑問を抱きます。そして、結果的に市民のためになるのか、市民の納得のいくものになるのか、不安が拭えません。
なお、本事業において太陽光発電は、個人宅への導入補助事業も含まれます。ZEH化住宅、施設のZEB化などが推奨される中、住宅地や町なかにもソーラーパネルが増え、普及が進んだからこその問題も出ています。京都府では、景観阻害も含め、地域に合ったパネル設置となるよう規制されたり、ほかの自治体では太陽光発電導入の詳細なガイドラインが示されていますが、本市では、2017年に市の快適条例で300平方メートル以上の設置に対して届出を求める規制をし、ページ右下にあるプリント1枚にまとめたガイドラインが作成されていますが、どちらも作成した年から変更されていません。また、届出が規制される平成29年より前にできた発電所は市として把握していないことや、設置基準はあっても法的拘束力がない点などに問題はないのか、懸念します。
様々状況が変化した今、メガソーラーを含め市内全体の設置状況を把握し、生まれている問題点や課題を整理して、まちづくり全体として適度で適切な設置となるようガイドラインを示していく必要があると感じています。
また、これら施策の根幹となっている本市の環境基本計画は、環境学習の教材としても利用できるよう作成されたと認識しています。であれば、教育的観点から、再生可能エネルギー創出には、明るい可能性だけでなく、問題やリスクが生じていることも明記するべきではないでしょうか。子供たちや市民がより正確で深い考えを持って持続可能な地球環境や未来について考えていけるようにするべきと考えます。
以上を踏まえ、質問します。
1、オフサイトPPAの単価が関西電力の単価を上回ったり、料金が改定され、事業導入により市の負担が増える可能性はないのでしょうか。
2、オフサイトPPA事業者撤退のリスクはないのでしょうか。
3、事業について市民への説明と広報をどのように行うのでしょうか。
4、太陽光発電のデメリットについて市の見解をお答えください。
5、ソーラー設備の導入に関するガイドライン、快適条例による規制を見直す必要はないでしょうか。
6、環境基本計画に再生可能エネルギー普及のリスクも記載すべきと考えますが、どうでしょうか。
以上で壇上からの質問を終え、以降は対面式質問席にて再質問、意見、要望等をしてまいります。
御清聴ありがとうございました。
◎環境局長
ゼロカーボンシティ推進事業についての御質問にお答えします。
初めに、事業導入による市の負担についてですが、電力単価は、石油、石炭や天然ガスなどの燃料価格や卸電力市場における取引価格の影響により変動します。一方でオフサイトPPAは、価格の変動リスクを軽減でき、将来にわたって安定した電力調達につながるもので、事業発注の段階で契約期間、電力の上限単価等を設定し、事業者を決定するため、市の負担が大手電力会社の単価以上になることはありません。ただし、議員御指摘のとおり、託送料など電力送配電会社が別途定める費用、将来的な制度変更や燃料単価等の変動を受け、電力単価が上下する可能性が全くないとは言い切れないのも事実です。しかしながら、現時点、これらの状況を総合的に勘案した結果、本市のエネルギー調達の手法としてオフサイトPPAを導入することは、電力事情に係るリスク軽減対策に有効なものであると考えております。
次に、事業者撤退のリスクについてですが、事業者選定時には、撤退リスクを最小化するため、事業者の経営状況、同種事業の実績等だけでなく、リスク回避に対する考え方なども審査項目とすることで、その低減に努めてまいります。
また、撤退に係る内容を契約書に定め、機器の撤去、敷地の原状回復等の責任を明確化し、債務不履行の場合には法的な措置も含めて対応してまいります。
次に、事業について市民への説明と広報についてですが、事業予定地では地元説明会を行い、詳細な配置計画や災害に伴う停電時の充電施設の開放等といったメリットのほか、パネルの反射光や運転音が発生するといったデメリットとともにその対応策についても説明を行い、周知をいたします。また、環境省が進める脱炭素先行地域でその基盤となる、いわゆる重点対策加速化事業に採択された際には、市ホームページにてその事業概要も掲載する予定としております。
次に、太陽光発電のデメリットについてですが、傾斜地での土砂流出、濁水の発生や景観への影響並びにパネルの反射光、運転音や廃棄手法等、様々な問題が考えられます。例えば本市で事業実施の場合には、低反射タイプのパネルの採用、向きの工夫や住宅地との空間の設定及び植樹などの反射光の遮断、運転音を発生する装置は住宅地から離れた場所に配置するなどの対応、また、事業終了時の設備の廃棄につきましては、環境省太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドラインにのっとり、有害物質の処分を含め適正に対処してまいります。
なお、太陽光発電設備システムの製造過程で発生する二酸化炭素排出量は2年程度で回収できるとされていることもあり、住宅地を多く抱える本市にあっては、曲がる太陽光電池――ペロブスカイトを含め、太陽光発電による再生可能エネルギーの導入が最も適していると考えております。
次に、太陽光発電の設備導入に関するガイドライン、規制の見直しについてですが、本市においては、条例及びガイドラインで設置者に対して太陽光発電施設の適正な設置や管理面を求め、兵庫県においても条例で近隣住民との協議を経た上での届出を求めています。このように、兵庫県が社会情勢等の変化を踏まえながら一定の規制強化を図っていることから、市による規制は考えておりませんが、市ガイドラインについては、県条例の反映など適宜修正を行い、太陽光発電施設がより適正に設置・管理されるよう、市ホームページ等を活用し、設置者へ協力を求めていきます。
また、今後も引き続き国や県の動向を見ながら市の対応について研究を進めてまいります。
最後に、再エネ推進のリスクや課題の記載についてですが、本市では、令和6年3月に西宮市環境基本計画の中間改定を行い、環境目標ゼロカーボンの分野においては、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの利用推進を啓発し、また、安全・快適の分野では、人や環境に優しい安全で快適な社会の実現に向けた取組を掲げ、有害物質発生源への指導・監視などの方針をうたっております。一方で、個別・具体的な施策に係るリスクまで記載することはしておりません。
脱炭素社会の実現に向けては、革新的な技術導入の検討が不可欠ですが、新たな技術導入には、多少に関わらず、リスクとその対策について考慮しておく必要があると考えており、再生可能エネルギーにつきましても、メリットのみならずリスクについても正しい知識を持つことは環境学習の観点からも大切なことであると認識しております。
環境基本計画は、施策の方針・方向性を示すものであり、個別事業に係る具体的なリスクや課題の記載までは困難ですが、市ホームページには太陽光パネル廃棄処分時の留意点を記載しており、引き続き国、県や他都市の状況を勘案しながら、広報の仕方やその記載内容について検討を進めてまいります。
以上でございます。
*牧みゆき
丁寧な御答弁ありがとうございます。
再質問をいたします。
時間の都合上、答弁を大きくまとめますが、オフサイトPPAの事業は、契約の仕方で様々なリスク回避を考えておられるものの、電気代が契約時より高くなる可能性、また、関西電力より値段が高くなる場合もあり、事業者撤退リスクも存在するということでした。特にパネル処理については、法整備で厳格な適正処理が義務づけられたとき、事業者から追加費用を求められる可能性は高いと考えています。そして、私が様々申し上げた環境や人も含め生態系に関わる問題、災害時のリスク等、数々の課題があることも発言内で認められていますが、十分な対策がなされているとは言えない状態です。加えて、今回は触れていませんが、令和6年度のゼロカーボンシティ推進事業では、オフサイトPPA事業以外にも、公用車のEV化事業費など長期間のリース契約の契約も含まれ、交付金で導入ができるものの、その後は市費での運用となり、既に導入しているEV車では、ガソリン車と比べ約3倍の費用がかかっている状態です。
私は、これら事業で市が抱えるリスク、市の財政状況と日本の脱炭素・再エネ事業全体が抱えている問題の多さから、来年度申請の際には、オフサイトPPAによるメガソーラーの建設・運用事業、また、ゼロカーボンシティ推進事業全体の事業内容を見直すべきであると考えます。これに対する市の見解を、すみませんが、できるだけ簡潔にお聞かせください。
◎環境局長
再質問にお答えします。
地球温暖化に伴う気候変動の影響は大きく、その原因とされる二酸化炭素の排出量を減らすことは喫緊の課題であると認識しております。議員言及のとおり、オフサイトPPAを含む太陽光発電の導入に対しては、様々な課題も指摘されます。その一方で、本市の脱炭素化を推進していく上で二酸化炭素排出量抑制効果がある再生可能エネルギーの導入はその選択肢の一つではありますが、住宅地を多く抱える本市のポテンシャル――潜在能力を考慮した場合、太陽光発電の活用は非常に有効であると考えております。また、事業を進めるに当たっては、国の補助金を活用するなど、財政的な負担を軽減できる手法を選択し、課題に的確に対処しつつ、ゼロカーボン実現に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
*牧みゆき
御答弁ありがとうございました。
課題は認識しつつも事業は進めていくと受け止めました。私は見直すべきだと思います。太陽光発電が本市の再エネ化に有効であることは否定しませんが、本市の再エネ化は既に市の施設全体の6割以上できていると伺っていますし、繰り返しになりますが、国の補助は主に導入費用で、維持管理に多額の予算が必要です。令和6年度、ゼロカーボンシティの計画全体で削減できるCO2排出量は6万198トン、人1人が年間に排出するCO2は一般的に年間約9トンと言われ、計算すると6万198トンは6,688人分の年間排出量となり、6,688人は西宮市の人口の約1.4%に当たります。つまり、複数年にわたる事業で億単位の予算をかけ、市全体の1.4%の人が1年間に排出するCO2を削減するという計算になります。これは、取り組む必要がないと言いたいのではなく、脱炭素・再エネ事業とは、全般こういったものだということを市に改めて認識していただきたいという思いです。財政難でいろいろと切り詰めざるを得ない状況の西宮市が本当に今どうしても取り組まなければならない事業なのでしょうか。計画のメガソーラーは、急斜面や切土、盛土をするようなタイプではありませんが、未利用地の活用としてほかに有効なものがないかを含め再検討を強く要望します。
また、住民への説明を行う際には、資源エネルギー庁のガイドラインも参考にきちんと説明が行き届くようにし、住民・市民の疑問や不安に丁寧に対応してください。
規制やガイドラインの見直し、作成も早急に進めるようお願いいたします。
今回質問するに当たり、北部のソーラー施設を見たり関係する省庁に確認をしましたが、様々浮かび上がった問題に対し、勧告や規制の追加が各省庁にまたがり、複雑になされています。市は、西宮市に今どれだけの太陽光発電設備があってどうなっているのか、国や県はどう対応していて、今、自治体がすべきことは何なのか、具体的に把握できているでしょうか。地球環境のためにと事業が計画されているのに、足元である西宮市の環境について対策が穴だらけに感じています。まずは実態把握と理解、その上での計画だと思い、環境基本計画への記載も提案しました。
再生可能エネルギーの普及に当たっては地域との共生を大事にするよう国も呼びかけており、ゼロカーボン推進に当たっては、他市との比較や数値目標の達成を急ぐのではなく、さきの定例会で河崎議員から御提案があったように、技術革新を待ちつつ、時間をかけて考えるというのも大事だと思います。西宮市の環境や人にも優しい本質的な環境政策を進めていただくようお願いします。
ありがとうございました。
令和6年9月定例会 2024.9.4